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第6話

移植後は免疫抑制剤を服用しているため、感染症は重症化のリスクが高く、錦にとっては命にかかわる問題とも言える。 出逢った頃にも聞いた話だ。 そうだ。だから春の会食で体調を崩した自分は、欠席を余儀なくされたのだ。 その他大勢にとっては大した問題でなくても錦にとっては、些細な事が命取りになるのだ。 今の錦には死が隣り合わせにある。 誰にも会うことが出来ず、寄り添う相手も居ない。 ただ一人死の淵に居る幼い少年の孤独は想像を絶する。 孤独なのだ。 錦も、自分も。 会いたい。 錦に、会いたい。 もしも、このまま会えないまま別離を迎えたらどうすれば良い。 錦が居なくなる。もう二度と会えなくなる。 絶望がリアルさを伴い絡みつく。 次第に最悪な状況ばかりを考えるようになる。 錦が居なくなる未来が頭の中に充満して、息が出来ない程に苦しくなる。 どうしよう、あの子がいなくなったら。 二度と会えなくなったら、自分は――生きていけるのだろうか。

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