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第7話
転がり落ちていくのに時間がかからなかった。
不安が募り碌に食事が喉を通らなくなる。
眠れば悪夢を見て目覚めた。
冷たい汗をかきながら眼を閉じれば、錦の居ない未来が脳内を支配する。
妄想だ。そんなの、唯の妄想だ。
でも、それが真実になれば。
埋没していく薄暗さは、否定してもしきれない
次第に夜眠ることが出来なくなった。
酷い隈を張り付け顔面蒼白で、日夜無気力でまともに話す事も無くなる。
少しずつ活動が停止していったのは、心が先か体が先かは分からない。
完全に生気を失った姿を見て、いつもは大して気にもかけてくれない親でも流石に心配をしたのだろう。
父親に引きずられるようにしてメンタルクリニックへ連れていかれた。
何度か過去来たことの有るクリニックだ。
問診を書いていると、手が震え文字が汚く滲む。
症状の切っ掛けを文字で起こすと、汗で蒸れて紙が波打つ。
カウンセリングの次に検査を受け、ようやく医師の診察に辿り着きすべて終えれば半日経過していた。
軽度のうつ病と診断され、抗不安薬と睡眠導入剤を処方された。
薬のお陰で夜眠る事は出来たが、薬の副作用で霧に包まれたように頭は重く思考は一層鈍る。何より一向に不安は晴れない。
重い体と頭で何かを考えれば、マイナス思考に拍車がかかり余計に気が滅入るばかりだ。
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