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第6話

間近で見ても粗等見つからない。 肌、瞳、髪、唇。 爪に至るまでどこもかしこも瑞々しい。 一月を超す入院生活だ。窶れて美貌が損なわれていても何ら不思議ではないが、翳る事の無い麗しさに酷く安心した。 少しばかり疲れが見え儚い表情に胸の内が揺れる。 水分を湛え煌めく瞳に、胸が落ち着かなくなる。 久々の姿に、再度涙がこぼれ錦が少しばかり焦る。 その姿に、小さく笑った。 笑うと、錦は驚いた表情を見せる。 「何故笑うんだ?」 「御免ね、嬉しくて」 「嬉しくて?」 錦は目を丸くし、少しばかり呆けた顔で此方を見た。 何時もは凛々しい表情が無防備に解ける。 ぽかんとした顔が可愛くて、また笑う。

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