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この世で最も美しい少年の名前は、形の無いお守りだった

錦を皆で送り出した後、姉と兄が気味悪そうにこちらを見る。 気にする必要はない。 彼らは此方に非が無くても、常に粗探しをし攻撃材料を探しているのだ。 予想通り、非難めいた声音で引き留められる。 「何だ、さっきの態度は」 藪から棒になんだ。 大人しく席に着き話を聞いていただけなのに。 何が問題なのだろう。 俯く事もせず、卑屈な態度もとっていない。 今日は、素晴らしき記念日なのだ。 生まれ変わったかのような、清々しさを味わいながらどのように振る舞うのが正しいのか模索する。 辿り着ける筈はないと最初から諦めていた場所に居る。 手に入る事は無いと思っていた椅子に座ることを許された。 届かない筈の相手に一番近い所に自分は居るのだ。

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