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第2話
「寂しくないの?」
「寂しい? 何故?」
強がりでもない純粋な疑問。
当り前だ。錦も同級生と過ごすのは退屈なはずだ。
容姿、家柄、知性。全てにおいて他を凌駕している。
年相応に幼い同級生達とは馴染めないだろう。
幼さと引き変えに持つ知性は、子供の中に居ても大人に囲まれていても異質な存在となる。
それでも錦が敵視されないのは、その強さと正しさ故だ。
更に美しさと言う要素が加わり、圧倒的存在感を放つ。
周囲に馴染む事も呑まれる事も無い輝きは、つま弾きにされるどころか羨望と憧憬を持ち仰がれる。
時には崇拝の対象とし、時には賛辞を浴びせて熱狂的に。
正に雲の上の存在。
錦は彼自身を取り巻く全てを神様の様に冷やかに見つめる。
大勢の中に居ながら孤独でも、錦は寂しがることは無い。
錦の、誰も必要としない姿勢が大好きだった。
自分も錦と同じ感覚を持つことができれば、喉から手が出るほどに欲したものが手に入るのではないか。
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