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第2話

「あれは柿の木ですか」 「良く分かったね」 「あの木だけ剪定されていたので」 「観賞用だけど、色付いた実がなっているのは見栄えが良い。葉が落ちると掃除が大変そうだけど、オーナーはそのままの方が風情があると言って掃除をしないんだ」 「確か、柿や栗の木と建物の雰囲気が日本的だと海外の方に評判だったそうですね」 「わびさびは、是だ!とか、これは禅だ、らしいよ」 「……意味はご存知なのですか」 「多分、イメージだろうね。Facebookで外国人に褒められたオーナーは調子に乗って楓と梅も植えたんだ」 弟達は背後からくすくすと笑ってる。 兄と錦の会話が面白いのだろう。 二人の声は良く通る為、声を潜めなければ会話は筒抜けだ。内容が分からなければ余計に鬱屈とした気持ちとなるが、やはり親しげな二人に良い気分はしない。 平静を装いながらもグッとこぶしを握る。 ――こっちを見ろ。 足を止めて振り向いて欲しい。 強く念じて茶屋まで並んで歩く二人の背を睨むが、足を止め振りむくことはなかった。背後にいる人間の存在など気にもしないそぶりで会話に没頭している。

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