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第11話
眼を開けば、ルームミラー越しに運転手と視線が交わる。
「何だか楽しそうですね」
とても幸せそうな顔をしていた笑う。
海輝の事を考えていた。
それだけなのに、幸せそうに見えたらしい。
第三者から見てそう思われるほどに幸せに満ちた表情をしていたのだろう。
擽ったい気持ちで、はにかんだ。
はにかんだら、何故か驚かれた。
錦は小首をかしげる。
驚くほどの物だろうか。
「何を思われていたのか伺っても?」
「大事な人のことを考えていた」
「――それはっ! まさか、好きな女の子の事でも?」
「そんな女子など居ないが? 久々に会う義兄の事だ」
運転手は少しだけ罰悪そうな顔をし納得したように頷く。
笑顔を見ていると何だか恥ずかしくなり、話をそらす。
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