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第3話

「来てくれて有難う」 秋庭 紗江。 錦が小学二年の頃、縁談の相手として勧められた朝比奈グループ傘下企業の娘だ。秋庭家の次女で三歳年上の少女。 出会ってから二年と経たないうちに、相手の様子がおかしくなった。 何が原因かは分からないが、適応障害とうつ病を発症したと聞いた。 精神状態が不安定で、学校も通えず外出も出来ず部屋に閉じこもる日が続く。 一言で纏めれば、引きこもり状態だ。 その後定期的に見舞いや面会を申し込んではみたが、ことごとく断られた。 結果錦が小学四年生の冬に条件が合わぬとの理由から破談となった。 今は元婚約者だった相手と言うわけだ。 破談となった後は、秋場家とは一切の連絡を取っていない。 暗黙の了解で連絡を取ることはタブー視されていた。 見合いは義務だと割り切っていた錦も特に未練はなかった。 次に新しく見合い相手を宛がわれれば、錦はそれに従うだろう。 その程度なのだ。

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