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第6話

「何だ」 「錦君の制服姿初めて見た」 「そうか」 「お人形さんみたい。可愛い」 「……そうか」 錦は首をかしげる。この制服は可愛いのだろうか。 錦としては、水兵服と言う印象しかない。 彼女から見てセーラーカラーとは可愛いらしい。 「セーラーって女の子が着るイメージだけど、うん。男の子が来ても可笑しくないね」 「冬服はともかく、夏服に関しては一歩間違えたら幼稚園児のようだと一部男子児童には不評な制服だ」 低学年のうちは良いだろうが、高学年になれば羞恥を覚える児童もいるのだ。 「なにそれ。ふふ」 「俺が入学する前に一度デザイン変更されてるんだ。それくらい不評だった。しかしデザインが変わっても大差ないのでやはり不評だ」 「なにそれ。あはは、どういうことなの」 「男子児童のセーラーカラーを止めろと言う保護者がいるんだ」 「あぁ、高学年になると似合わない子が出てきそうだね」 「俺は正直どうでも良い」 何故制服の話になったのかと思わないでもないが、紗江が楽しそうなので良いかと思い直す。 「中学になれば学ランになる」 「ははは」 「紗江は一貫校だったな。確かブレザーだったか」 彼女はただ微笑む。 もしかしたら今も不登校が続いているのかもしれない。 腫れもののように扱う必要も無いが、紗江が言葉を続けなくなったので錦もそれ以上は何も言わなかった。

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