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第3話

何とか意識を回復した紗江を見て、家人は海輝に何度も礼と謝罪を繰り返した。それに対し海輝は菓子パンを差し出し紗江の兄に対して笑顔でこうのたまった。 ――メロンパン三兄弟の長男イチゴメロンパン君です。 貴方と同じ長男ですよ! 宜しければどうぞ。 巫山戯ているし、最悪な行動と言える。 袋から取り出したパンは床に転がしていたらしい。 それを処分ではなく食すことを目的で差し出したのだ。 何してるんだあいつは。あまりの無礼に唖然とした錦に紗江はおかしそうに笑う。 「まさか、受け取ったのか?」 ――受け取らなかったのだろう。 それはそうだ。口にすることを前提で中身剥き出しの菓子パンを差し出されても困る。むしろ嫌がらせだ。

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