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第2話

六月二十日火曜日。 眠れないまま朝を迎えた錦は案の定体調を崩した。 目眩と吐き気が酷く、まともに歩くことも出来ず椅子にも座れない。 青ざめた錦の顔を見て悲鳴を上げた使用人が慌てて父の秘書に連絡をし、学校を休む羽目になる。父にだけは知られたく無かったが仕方があるまい。 体調管理ができなかった自分が悪いのだ。 ただでさえ失望されているのだから、この程度ではもう何も思われないだろう。情けない気持ちもあるが、半ば開き直り錦は自室に戻る。 考えないといけないことは沢山あるのに、頭が全く働かない。 急いで往診に来た主治医に「寝不足による脳の酸欠状態からくる体調不良」と診断され再び寝間着に着替え横になる。 横になってもクラクラする頭にまとまらない思考のまま、眠りにつく。 夢さえ見なかった。 次に目を覚ましたのは、すでに正午を過ぎていた。 まだ倦怠感は残るが目眩も吐き気ももう無い。 すると朝は全く機能していなかった思考が、真っ先に憂鬱を誘う。 ぶり返す不安の中着替えと洗面を済ませた。 少し遅めの昼食を摂り部屋を見渡す。 人の気配が無い。使用人は外出しているようだ。 昨日と変わらない静けさが広がっていた。

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