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第7話

声が乱れる。 最後は嗚咽混じりでまともに会話など出来ない状態だった。 湊の声が頭に反響する。 『紗江ちゃんね……』 「……は?」 続いた言葉に呼吸さえ忘れる。 ――何を言っているんだ。 否定の言葉は出てこない。 言葉にならず開きかけた唇が戦慄く。 視界が眩み、立つことが出来なくなる。 五枚目の絵を受け取ったその日、錦は紗江の訃報を聞いた。

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