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自分がゲイだと気付いたのは中2のときだ。プールの授業で水着に着替えるとき、運動部の筋肉に釘付けだった。 最初は、自分とは違う男らしい体に憧れているだけだと思って筋トレをしてみたが、そういうことじゃないとわかった。 僕が通っていた中学は、3年だけ体育祭でクラス対抗の騎馬戦をすることになっていて、男子はなぜか上半身裸でやるのが決まりだった。 毎年応援しているていで、一足先に大人に近づいてる先輩たちのたくましい体を見て目の保養にしていた。 全員参加の競技だったので、中3になって騎馬戦の練習が始まった。騎馬は4人一組で、体重が軽いという理由で上に乗ることになった。 できるだけ足を引っ張らないように真面目に練習に励んだことで、本番を迎えるころには肌が真っ黒になっていた。 体育祭当日、クラスは順調に勝ち上がり、決勝までこぎつけることができた。対戦相手の3組は野球部とサッカー部の部長がいる最有力の優勝候補で、負けたクラスはみんな3組を応援していた。 始まる前に円陣を組んで、作戦を練った。 主将のハチマキを奪うために、僕達以外の騎馬が前から攻めて囮になり、その隙に後ろに回って奪うことに決まった。 「拓海くん、頼んだよ」 主将を務めているテニス部の斎藤くんが声をかけてくれた。クラスでも一番背が高く、目を引く存在だった。頷くとクラス全員で声を出した。 「5組行くぞー!」 「おー!」 作戦は見事に成功し、優勝を勝ち取った。 上半身裸のまま抱き合う男子を横目に、着替えに行こうとすると斎藤くんに腕を掴まれた。 「拓海くん、ありがとう!」 抱き締められると汗をかいた肌と肌がぶつかった。 初めての感触に熱がゆっくり膨らんでいった。 「···ご、ごめん。トイレ行ってくる」 急いでトイレに駆け込んで鍵をかけた。 熱の源に手を伸ばし、強く握った。 斎藤くんの細身だけどバランスよく付いた筋肉、爽やかな汗の匂い、生温かい肌の感触を思い出しながら手を上下に動かして熱を吐き出した。 日に灼けた手に白い蜜が広がった。しばらく呆然としていたが、誰かが入ってくるのが聞こえて、急いでトイレを出た。

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