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祝福−1−
12月に入り、街がここぞとばかりに輝き出した。
拓海の誕生日が近づいてきている。
純に頼んで一緒にプレゼントを買いに来た。
「何がいいと思う?」
「そもそも拓海くんは何が好きなの?」
「うーん···それが分かんないんだよ」
「恋人失格じゃん」
純は呆れた顔をしていた。
「そんなこと言うなよー」
「とりあえず見て回って候補決めよう」
「ん、了解」
ー拓海について何も知らないんだな
プレゼントを探しながら、そう痛感した。
雑貨屋に入ったとき、エプロンが目に入った。
「これにしよっかな?」
「拓海くん料理するんだっけ」
「うん、卵焼きが絶品でさー」
卵焼きを思い出してよだれが出そうになった。
「胃袋掴まれたんだな」
「そんな感じ」
エプロンは種類が多く、選ぶのに時間がかかった。
「うーん···どれにしよう」
「シンプルなのがいいんじゃない?」
「これとか?」
「努が決めなよ」
「えー···じゃあこれにする」
レジに持っていき、ラッピングをお願いした。
「彼女さんにプレゼントですか?」
女性の店員さんが聞いてきた。
「いや、彼氏です」
「え!」
明らかに動揺していた。
「す、すみません···」
「あ、いえ···」
気まずい空気が流れ、待ってる時間が辛かった。
エプロンを受け取りリュックに入れた。
「お待たせ。なんか店員さん驚かせちゃった」
「え?何したの」
「彼女にプレゼントですかって聞かれたから彼氏ですって答えたら黙っちゃって」
「あー···まぁびっくりはするよね」
「そういうもんかなー」
「外で会うときは友達のふりしてた方が楽だし」
「恋人なのに?」
「あの店員さんみたいに驚かれること多いから」
「ふーん」
ーそれって変なの
純と別れて、家に向かう途中で拓海に電話をした。
「もしもし、どうしたの?」
「あ、大したことじゃないんだけどさ。ってか今、電話しても大丈夫?」
「うん、大丈夫だけど」
「あのさ、外で会う時って友達のふりしなきゃいけないのかなー?」
「どういうこと?」
「いや俺たちが付き合ってることって隠さなきゃいけないことなのかなーと思って」
「···」
「もしもし、聞こえてる?」
「···僕は変な目で見られるくらいなら、友達のふりしてたほうがいい」
「でも」
「努はゲイじゃないから分かんないよね」
突き放すような言い方だった。
「それ関係ある?だって俺たち何も悪いことしてないのに、隠すのっておかしくない?」
「···何も知らないくせに」
そう言って電話が切れた。
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