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電話をかけ直したが拓海は出なかった。
「努はゲイじゃないから分からないよね」
その言葉が重くのしかかった。
直接話を聞こうと思って、拓海の家に向かった。
着いた頃には夕日が沈み、寒さが肌を刺した。
インターホンを鳴らしたが反応はなかった。
まだ帰ってないのかと思い、拓海が帰ってくるまで待つことにした。
2時間待っても拓海は帰ってこなかった。
冷えきった体をなんとか動かして帰ろうとしたとき、拓海が帰ってきた。
「あ、おかえり···」
「もしかしてずっと待ってたの?」
「···うん」
拓海は心配そうな顔で俺の手や顔を触った。
「どのぐらい待った?体冷えてるじゃん」
「多分···2時間くらい」
「今開けるから入って」
拓海が手を引いて家に入れてくれた。
暖房をつけて毛布も持ってきてくれた。
「実は···僕も努の家行ったんだ」
そう言って2人分のコーヒーをテーブルに置いた。
「え?」
「お互い同じことしてたんだね」
「そうだな」
拓海はマグカップで温めた手で俺の手を包んだ。
「さっきはごめん」
「いや、俺の方こそ···ごめん」
「ちゃんと話そうと思って」
「うん。ちゃんと聞くから」
拓海は俺の手を掴んだまま、高校時代にあったことを話してくれた。
「省吾とはそれから会ってないの?」
「うん。大学も知らないし」
「そっか···。そういうことがあったから、拓海は友達のふりしてる方が楽なんだな」
「僕も努のこと彼氏だって言いたい···でも怖くて」
「うん。拓海が嫌がることはしないよ」
拓海を毛布で包んで抱きしめた。
「初めて省吾のこと誰かに話した」
「ちょっとは楽になった?」
「うん、聞いてくれてありがとう」
「話してくれてありがとう」
伝わる体温がじんわりと広がっていった。
「あのさ···」
拓海が顔を上げた。
「ん?」
「···いや、やっぱりいいや」
離れようとしたのを引き止めた。
「何だよ」
「···朝まで一緒にいたい」
「それって···お泊まりってこと?」
「言い直さなくていいから···」
恥ずかしそうに顔を赤らめる。
「添い寝してほしいだけだから!」
そう言って毛布の中に隠れた。
「うん、わかった」
風呂から上がると、着替えとして拓海のスウェットが置かれていた。サイズは小さかったが、柔軟剤のいい香りがした。
拓海は先にベッドで横になっていた。
「やっぱり僕のだと小さいね」
「うん、でもいい匂いする」
「洗濯したばっかだから」
隣に寝っ転がると眼鏡を外してるのに気付いた。
「眼鏡外してる」
「うん、寝る時はね」
「前から思ってたけど、まつげ長いよな」
指でまつげに触れた。
「そっちだけ見えてるのずるい」
「じゃあもっと近づけば?」
拓海の顔が近づき、お休みといってキスをした。
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