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次の日、昼前にお姉さんの家を出て、円山動物園に向かった。
「お姉さん、いい人だな」
「うん。心配かけてばっかりだけど」
「ま、それも弟の役目じゃない?」
「そういうもんかな」
そう言って笑う拓海の表情は、どこかスッキリしたように見えた。
「それより小さいときの拓海可愛かった」
「お姉ちゃんにだめって言ったのに」
恥ずかしそうに俯いている。
「俺は見れて嬉しかったよ」
そっと手を繋いだ。
「可愛いのは小さいときだけ?」
「今のほうが可愛いよ」
拓海は自分で聞いて自分で照れていた。
「早く行こ!」
そう言うと走り出した。
円山動物園にはホッキョクグマ館があり、水中トンネルで泳ぐ姿を観察できるようになっていた。大きな体で水に飛び込んだり、泳いだりする姿は迫力満点で写真をたくさん撮った。
一通り見て動物園を出ると、13時を過ぎていた。
「お昼なに食べる?」
「お姉ちゃんからラーメン屋教えてもらった」
「お!ラーメンいいね」
地元でも人気のラーメン屋で、13時過ぎでも席がほとんど埋まっていた。どのテーブルも味噌ラーメンが運ばれていた。店員さんに注文してから10分足らずで、味噌ラーメンが2つ並んだ。
「美味そう···」
「努なら秒で食べ終わっちゃうね」
「ゆっくり味わって食べるし」
「絶対無理だと思うけど」
拓海の言う通り、あっという間に食べてしまった。
「もう一杯食べていい?」
「お好きにどうぞ」
店員さんにもう一杯頼んだら驚いていた。
拓海が食べ終わるのと同時に二杯目を食べ終えた。
「お姉さんに美味かったって言っといて」
「うん。伝えとく」
駅前のビジネスホテルにチェックインして荷物を置いた後、サッポロビール博物館に向かった。
明治時代の建造物ということで、レンガ造りの建物は写真映えした。試飲付きのツアーを申し込んでいたので、最後に貴重なビールを飲むことができた。
夕飯はすすきので食べることになっていた。
お姉さんのオススメはジンギスカンとのことだ。
「ジンギスカンって食べたことないかも」
「都内でもあんまり見ないもんね」
「うん。羊肉ってちょっとクセあるイメージ」
「ま、食べてみればわかるよ」
山型の鉄板で焼いた羊肉はなんの臭みもなく、さっぱりしていて美味しかった。タレも普通の焼肉のタレとは違い、羊肉に合うような味だった。
「美味すぎる!」
焼いた肉を次々口に運んだ。
「よかった。喜んでくれて」
拓海の口に肉を持っていくとパクっと食べた。
「美味しい」
そう言って笑う拓海はとにかく可愛かった。
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