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帰りの新幹線は2人とも気が抜けてしまい、気付いたらあっという間に東京に着いていた。夕飯を作る気力はなく、久しぶりにデリバリーを頼んだ。 「お父さん、よかったな」 「うん。一緒に来てくれてありがとう」 「当たり前だろ」 努がいなければ、お父さんの気持ちを知る由もなかっただろう。ありがとうの気持ちを込めて、後ろからギュッと強く抱き締めた。 「どうしたの?」 「ギュッてしたくなったから」 努の表情は見えないが、伝わる体温が少しだけ上がっているような気がした。 「拓海」 「ん?」 「今度さ、俺の親にも紹介したい」 「うん。僕も会ってみたい」 嬉しくて努の首筋にキスをした。 「夕飯の前に拓海食べていい?」 「なんかおじさんみたい」 クサい台詞がおかしくて思わず笑ってしまった。 「何だよー。言わなきゃよかった」 拗ねてる努の頬にキスをして、ベッドに移動した。 「努の両親ってどんな人?」 確か努の地元は宮城県の仙台だと聞いた気がする。 「2人ともパワフルで元気だよ。バスケの大会も必ず見に来てくれて誰よりも応援の声大きかったし」 「へーそうなんだ」 いい関係だなと思った。 「まさか俺が恋人を連れて帰ってくるとは夢にも思ってないだろうけど」 そう言って努は笑った。 「弟くんはいくつだっけ?」 「1つ下だから大学3年生。地元の大学通ってる」 「家族はみんな背高いの?」 「みんな普通で俺だけでかい感じ」 「そうなんだ」 家族の写真を見せてもらうと、努だけ飛び抜けて背が高く距離感がおかしかった。 「弟くん可愛いね」 「性格は可愛くないけどなぁ。何が良くてモテるのか分からん」 「これはモテるでしょ。女子がほっとかないよ」 「よく女子から弟の話を聞かれたよ。好きな食べ物とか好きな色とか···。自分で聞けばいいのに」 「あー···それは確かに面倒くさいね」 省吾のことを思い出してモヤッとした。 「中学と高校は同じだったから、いつも弟と比べられてたよ」 「弟くんもバスケ部?」 「いや、ダンス部だった」 「モテる要素しかないじゃん」 「それな」 ー仲良くなれるといいな そんなことを思いながら努に腕枕をしてもらって眠りについた。

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