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出勤−1−

4月になり社会人生活がスタートした。 俺は営業の仕事で、早速先輩と一緒に取引先に挨拶まわりに行った。体力には自信があったが、履き慣れない革靴のせいか思ったより疲れが出た。 拓海は事務の仕事で、毎日座りっぱなしでパソコンとにらめっこしているせいで、目が疲れて腰が痛いと言っていた。 純はバイトしていた塾で、そのまま正社員として採用された。昼過ぎ出勤で慣れてる仕事ということもあり特に困ったことはなさそうだった。 働き始めて2週間が経ち、土曜に純たちと4人で飲むことになった。 「思ったより大変だろ」 堀内先輩が笑っている。 「社会人なめてました」 「まぁ慣れるまでの辛抱だな」 そう言って追加のビールを頼んだ。 「堀内先輩も最初はこんな感じでした?」 拓海がビールを注ぎながら聞いた。 「うん、俺も最初はついていくのに必死だったけど塚本さんっていういい上司に出会ってからは働くのが楽しくなったよ。純のことも紹介したし」 「それはいいですね」 そんな上司は一握りだろうなと思いながら、テーブルの上に残っていたものを平らげた。 純たちと別れて拓海の家に向かった。 風呂上がりにリビングに戻ると、拓海がパソコンで何かをしていた。 「何してんの?」 「ちょっと先輩から仕事頼まれて」 「土曜なのに?」 「やらないと怒られるし、今日中に片付けないと」 「明日やれば?」 「もうやり始めちゃったから最後までやる」 「あんまり無理するなよ」 「うん」 終わるまで起きてようと思ったが、いつの間にか寝てしまっていた。時計を見ると深夜2時を過ぎていたが、拓海はまだ仕事していた。 「寝ないの?」 拓海の肩に頭を乗せた。 「あともうちょっと。寝てていいよ」 「いや、起きてる」 「さっきまで寝てたのに?」 「気付いたら寝てて···」 「仕事が捗ったから大丈夫。はい、終わった!」 拓海は振り向いて抱きついてきた。 「首と肩マッサージして」 「ん、了解」 拓海はうつ伏せに寝て、腰に乗っかった。 力を入れて揉むとかなり凝ってるのが分かった。 「痛い?」 「大丈夫」 「お疲れ様」 「ありがとう。そこ···ヤバいかも」 特に凝ってるところを時間をかけてほぐしていると寝息が聞こえた。体を揺らして起こそうとしたが、 気持ちよさそうに寝ていたのでやめた。 おやすみ、と心の中で言ってうなじにキスをした。

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