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GW−1−
入社して1ヶ月が過ぎ、GWに入った。拓海と一緒に仙台に帰省することになっている。
親には紹介したい人がいるから帰省すると事前に電話で伝えた。母さんも父さんも大喜びしていた。
帰省当日、新幹線の座席はほとんど埋まっていた。
「結構混んでるなー」
「GWだし」
「拓海、緊張してる?」
「うん、ちょっとね···」
「電話したとき喜んでたから大丈夫だよ、きっと」
「そうだといいけど」
駅で買った駅弁を食べ終えると睡魔に襲われた。
「拓海、肩貸して」
「どうぞ」
肩に頭を預けて眠ろうとしたが、前に座る子供たちのゲームの音がうるさくて寝れなかった。
「これじゃ寝れないね」
拓海がイヤホンを取り出して俺の耳につけた。
「拓海はいいの?」
「眠くないから大丈夫」
そう言うと拓海が好きなバンドの音楽が流れ始めた。ゲームの音が消え、気付いたら仙台に着いていた。
駅には弟の優が迎えに来ていた。
会うのは去年の正月ぶりだ。
「初めまして、高橋拓海です」
「努の弟の優です。車はあっちです」
駐車場に向かうと、見慣れない車があった。
「優、車買ったの?」
「うん。ないと不便だから」
助手席に座ると、彼女の忘れ物らしきピアスが落ちていた。
「なんか落ちてるけど」
「あー、この間乗せた子のかな」
「彼女じゃなくて?」
「いや、一方的に好かれてるだけ」
「これだからモテる男は···」
拓海が俺たちのやりとりを見て笑っていた。
お互いの近況を話してるうちに家に着いた。
「ただいまー」
「努、おかえり。拓海さんも遠いとこありがとね」
「初めまして、高橋拓海です。お邪魔します」
「父さんは?」
「今ちょっと買い出し行ってもらってる」
「そっか」
「先に荷物置いてきなさい」
「はーい」
2階に上がって自分の部屋に拓海を案内した。
必要なものは引っ越しのときに持って行ったので、部屋の中は殺風景だった。
「適当に荷物置いて」
「うん、ありがとう。高校の卒アル見たいなー」
「今とそんな変わんないよ」
「僕の小さいころの写真見てるんだから、見たっていいでしょ」
「探すからちょっと待って」
本棚の奥から取り出して拓海に渡した。
「あ、いた!」
クラス写真のページで拓海が指差していた。
「なんかちょっと幼くて可愛いね」
「そうか?」
確かに自分で見ても幼かった。
その時、扉をノックする音が聞こえた。
「父さん帰ってきたよ」
優の声だった。
「今行く」
アルバムを閉じて拓海と一緒に1階に下りた。
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