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橋本はキョトンとして頬をつねっていた。 「夢じゃないよ」 先輩が橋本の手を握った。 「いや、絶対夢です」 先輩の手を振りほどこうとしたが、先輩は離さなかった。 「俺の気持ち、夢にしないでよ」 橋本の顔がみるみる赤くなった。俺もなぜか照れてしまい目をそらした。 「い、いいんですか?僕にはもったいないです···」 「俺は橋本がいいの。だから会社に戻ってきて」 橋本は頷いて、先輩の手を握り返した。 橋本が戻ってくることが嬉しくて、仕事終わりに ケーキを買って帰った。拓海にはいいことがあったとメッセージを送った。 「ただいまー」 「おかえり。ケーキ買ってきた」 「甘い物食べたかったから嬉しい」 スーツから寝間着に着替えて夕飯を食べた。 「そういえば、いいことって?」 「橋本が辞めずに戻ってくるって」 「そうなんだ!よかったね」 今日あったことを話すと拓海も驚いていた。 「そんなことあるんだね」 「俺もびっくりしたよ」 「まぁ結果オーライだからよかったけど」 「でも2人と一緒に回る俺は完全に邪魔者だな」 「確かに」 そう言って2人で笑った。 夕飯後、拓海がコーヒーを淹れてる間にケーキを 冷蔵庫から出した。 「拓海どっちがいい?」 ミルフィーユとチーズケーキを買ってきた。 「ミルフィーユ」 「了解」 お皿に出すと同時にコーヒーも出来上がった。 「んー美味しい」 一口頬張って幸せそうに笑った。 「喜んでくれてよかった」 「チーズケーキも一口ちょうだい」 「いいよ取って」 「食べさせて」 そう言うと目をつむって口を開けた。 ケーキの代わりにキスをあげると、カスタードが口の中で絡まった。口を離そうとすると、拓海が首に手を回してきた。 「ケーキはいいの?」 「今はこっちがいい」 拓海の背中に手を回してゆっくり体を倒した。 繋いだ手がひんやりした指輪に触れて、熱がさらに膨らんでいった。 「努···脱がして」 寝間着のボタンを一つ一つ外していく。 真っ白な肌に唇で印をつけた。膨らんだ熱を拓海のと重ねてローションを垂らした。 「拓海、気持ちいい?」 拓海は首を縦に振った。 いやらしい音と2人の呼吸が部屋に響いて、手の動きをさらに速めた。もう一度唇を重ねて大量の熱を吐き出した。 「一緒にお風呂入ろっか?」 「うん」 拓海の手を引いて風呂場に向かった。

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