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第13話
壁が灰色の岩でできた、空気の重い空間だった。
セイジュが眠っていた客間や、食事をした(セイジュは乾杯とシャンパンひとくちで気絶しただけだが)部屋の豪華絢爛さはどこへやら、照明は薄暗く、部屋の中央にはベッドがあるが、通常のものより高さがあり、上半身を支える部分が起き上がっている。
今、セイジュはそのベッドに横たわっている。ごくごく微量のアルコールのせいで、首や胸元までピンク色になっていて、黒いシルクのシャツとのコントラストが扇情的だった。
「セイジュ、起きろ」
ボルドーの衣服に着替えて入室してきたクロイゼンが、ベッドのセイジュにそう声を掛けた。
セイジュは少しずつ酔いが醒めるのを感じていた。当然だ、シャンパンひとくちだったのだから。
「えっ?!」
覚醒したセイジュがまた大声を上げる。
「何ですかここ、洞窟? 俺は確か食事をしに行って……」
「俺のお気に入りの部屋を洞窟呼ばわりするとは、失礼な下戸だな」
「げこ……ってなんですか」
クロイゼンは応えず、セイジュの正面に立った。
「いいか、セイジュ。これからおまえにある教育をする。期間はおまえの学習能力次第だ」
——こんな机もない所で何を勉強するんだろう?
と、セイジュは首をひねった。
もうダーメだこいつ、貞操観念とかそういう系の知識も危機感もありゃしねぇ!
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