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第24話
「浮気は絶対、禁止だからな」
「……そういうことはしないよ」
「うん。裕貴、……キスして?」
先生は腕の中でもぞもぞと身動きしながら背伸びをして、頬に触れるだけのキスをした。
「それじゃない」
「……うん」
目を閉じた俺の唇に先生のしっとりとした吸い付くような唇が触れる。そっと舌で舐めると先生の背がびくっと震えた。先生の唇も舌も噛みたい。先生のすべてを俺のものにしたい。早く、早く、と俺の身体が言っていた。それがわかったのか、先生は唇を離し、俺の胸を叩いた。
「部活に行きなさい。早く」
「裕貴さん、……俺、裕貴さんのこと抱きたいんだけど」
先生は覚悟していたのか、びっくりすることなくすんなりと答える。
「恋人同士なら……」
「また順序ですかー?」
「そういうこと」
先生は人差し指の節を唇に当てて笑った。それがとても優しい表情で、俺は心から嬉しくなって、もう一度むりやりキスをする。
「行ってくるね。今夜、電話する」
「……わかった」
振り返ると先生の穏やかな笑みがそこにあって、俺は胸が熱くなるのを感じていた。
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