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第31話

 言葉とは裏腹の淋しそうな横顔に、二人だけだったなら強く抱き締めてあげたかった。まるで迷っている子供のようにひとつひとつ言葉を選ぶ先生は本当に今そう思っているのだろう。俺もまた、何て幸せなんだろう。重ねた指に俺は力を込めた。 「裕貴さん。……俺、裕貴さんのこと幸せにしたい。もっと幸せになってほしい。頑張るからさ。俺のこと頼ってよ」 「……ありがとう」  長い睫毛を伏せ気味に微笑んだ先生の髪をそっと撫でて、俺達はゆっくり時間が流れるのを楽しんだ。

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