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第43話
「ん……んっ……」
先生の綺麗な口が大きく開けられて、眉根が苦しそうに寄せられている。そんな表情でさえ俺を煽って、止めることができなくなる。ぐちゅぐちゅと口から出し入れしながら、手は閉じてしまいそうな俺の両足に掛けられ開かされる。隣りのカップルの声が大きくて聞こえていないだろうが、深夜しかも半分外でこんなことをしているなんて考えるだけで興奮する。あの先生が俺のモノを咥えている。それだけで達してしまいそうだった。
「……裕貴、離して」
先生はそれを無視してもっと喉の奥に突き入れる。すぼまった温かい肉に先を刺激され、俺はもう限界だった。
「口、離せって!」
ぐっと押し付けられ、俺は先生の喉に精液を吐き出してしまった。先生は切なげに震えながらそれを飲み込んでいく。白い喉が上下して俺は見惚れてしまっていた。すべてを飲み干すと先生は何事もなかったかのように口を離したが、すぐに背を丸めて吐き出した。
「ほら! 何で無理するんだよ!」
背をさすりながら、俺は先生の唇からぬるぬるとした白い液体が零れるのを見た。それを湯で流しながら、蛇口の栓を開ける。
「裕貴さん、口、ゆすいで」
「……うん」
細い両手を出して水を溜める。それで軽く口をゆすぐと、先生はこちらを振り返った。
「……落ち着いた?」
「…………」
「寒くなったからもう一度風呂に入って出よう」
本当にどうということもないように笑っている先生を見て、俺は腹立たしくもあり、情けなくもあり。俺をからかっているのだろう。絶対に自分の肝心な領域には踏み込ませない。だけど触れてほしい。そんな葛藤が感じられて、俺は困惑していた。
二度目に入る湯の中でも先生は何度も口付けをねだってきた。それに応えて舌を絡めながら、こんなに近くに先生がいるのに、何て遠いところにいるのだろうと、俺はぼんやり思っていた。
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