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第61話
「それじゃ約束にならないな。もう一度」
舌を出すと先生がおずおずとその舌を唇で挟み込む。吸い付く音が静かな部屋の中で淫らに響いた。俺は先生の腰を辛くないように両手で抱き締めた。もっと俺を欲しがれ。アンタが欲しがっていいのは、あの男じゃない。この俺だ。
先生の涙が頬を伝って落ちていくのを、俺は満足げに見つめた。もう先生は裏切らないだろうと確信した。完全に俺はそう思い込んでいたのだ。
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