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第106話
裏筋を舐められ、何度も何度も行き来する舌と唇にため息が出る。俺は箱根の時のことを思い出す。上手になっていやしないか? いや、それはよそう。先生の額に汗が光る。喉に当たるほどに飲み込まれると、俺は思わず息を上げた。
「裕貴……飲むなよ」
あの時、吐かれたことを思い出す。だが先生は何も聞こえていないように熱心に俺のペニスを口に含んで上下している。そのいやらしい様に俺は手の甲を口に当てる。
「裕貴……ヤバいって」
聞いていない。子供のような先生の顔を引き上げる。唇で塞いで起き上がらせた。
「……遼一……」
「何? 入れたい?」
先生は唇から唾液を滴らせていた。それを指で拭う。
「……それは……考えてないけど……」
「そう」
先生の目が俺の昂りに釘付けになっている。俺は先生のシャツのボタンに手を掛ける。ちょっとびくっとして、身体を引こうとしたが、観念したかのように我慢して目を閉じた。
「……怖くない?」
「……大丈夫」
「嫌な時は言って?」
「嫌じゃない……」
首筋、それから肩、胸へと少しずつシャツを脱がせながらゆっくりとキスしていく。先生が怖くないように深沢さんはどうやってこの人に触れたのだろう。そんなことを思いながら先生を倒していく。
「……真っ暗にする?」
「……いい。大丈夫……」
「裕貴、身体の力、抜いて」
先生はなるべく深呼吸をしながら、俺の髪をかき乱した。目を瞑り、快感だけに従順でいようとしている。俺は傷に沢山のキスをしたかった。口付けて、少しでも心の傷を癒したかった。
「……傷に、触れるよ?」
一応、確認する。ほぼ全身に傷があるのだ。触れないわけにはいかなかったし、今だからこそ俺はなるべくその傷に触れたかった。先生は少し指を噛んで考えていたが、しっかりと頷いた。
「裕貴……」
盛り上がった傷に唇や舌で触れる。先生はそのたびにびくびくと身体を跳ねさせていたが、そのうち、ジーンズを脱がせる頃になると我慢ができないのか、膝を擦り合わせていた。
「……気持ちいいんだったら、声、出して」
「……うん」
ジーンズと下着を脱がせると先生のペニスが濡れていやらしく光っている。すぐにでも触れたかったが、俺はそっと尋ねてみた。
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