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第7話
そしてその日俺は初めて進藤くんの家の敷居を跨いだ。
広くてキョロキョロしてしまう。一応建築学科の端くれとして、この建物がとんでもなくお金をかけた住宅だと即座にわかった。
直線的なシンプルモダンスタイルで、男性的。進藤くんのイメージにもぴったりだった。
雑誌や資料などで見ることはよくある類のデザインだが、実際住んでる人が身近にいるとはね。
段板まで全てガラス製の階段を上がってリビングに案内される。
普通にバルセロナチェアがオットマンと共に置いてあった。
「うわ…すごいね…」
「え?何が?」
「いや、なんでもない…」
たぶん、ただの椅子を買う感覚で買えるんだろうから俺が騒いでも理解されないだろう。
お父さんが家庭教師を雇うように言ったというからてっきり御本人と面談かと思いきや、この日は進藤くん以外家には誰も居ないという。
打ち合わせはパソコンを使ってオンラインで繋ぐことになった。
お父さんはとても忙しそうで、一瞬挨拶してすぐに通話は切られてしまった。
強く家庭教師を勧めた割に、どんな相手かどうかにはあまり興味がないようだ。
「いつものことだから。気にしないで」
進藤くんは慣れっこらしい。
とりあえず顔を見せたという事実だけが大事なんだそうだ。
「家庭教師をつけてやって父親なりに手助けはしたということにしておきたいんだよ。俺が受験で落ちた時の保険にね」
「ふーん」
一般庶民の家庭に育った俺にはよくわからなかったけど、お金持ちは色々大変なんだな?
進藤くんは俺にそのまま座っているように言ってコーヒーを淹れてくれた。
カップを2人で持って、勉強の進捗具合を見るため進藤くんの自室に行く。
進藤くんの部屋は俺の部屋の倍くらいの広さがあった。
「その椅子どうぞ」
「あ、うん」
デスクの前に2人で並んで座る。
どれくらい出来て何がわからないのか知りたかったのでまずは軽く過去問を解いてもらうことにした。
それでわかったのは、俺を雇う必要無いんじゃないか?ってこと。
数学を教えて欲しいらしいけど、特に困ってなさそうだった。
「進藤くん」
「はい、なんですか?間違ってました?」
「いや…合ってるんだけど…というか、合ってるんだよ。ねえ、家庭教師なんていらなくない?」
「だから言ったでしょう。父が家庭教師を雇った事実だけ欲しがってるんですって」
「え……じゃあ本当に俺意味ないじゃん?」
「そんなことないですよ。わからないこともあると思うし」
「…そう?」
そんなことがあったとしても参考書さえあればすぐに解けそうという印象だ。
「あの…やっぱり俺やめておこうかな」
「え?なんで?もう父と話したじゃないですか」
「挨拶しただけだし」
進藤くんが身体をこちらに向け、俺の肩を掴む。
「尾崎さん。今更逃げるなんてナシですよ」
「逃げるってそんな…ちゃんと家まで来ただろ?」
「はぁ…わかんないのかな…」
「は?何が」
「父と挨拶だけしたら終わりだとでも?」
「だから、勉強がわからないなら教えるつもりだったよ。でもその必要は無さそうだし」
「お金なら出すって言ってますよね」
俺は返答に困った。別にお金貰おうと思って来たわけじゃないんだけど…
「何が不満ですか?カフェよりバイト代は良いし、勉強も俺は自分で大体できるからやることもそんなに無いですよ」
「だから、それがおかしいって言ってるんだろ」
「わからないな。楽して稼げるならそれで良いじゃないですか?」
そりゃ…そうか?
「でも、やっぱり何もしないでお金もらうなんて変だよ」
「じゃあ何かやることがあればいいんですか?」
進藤くんは苛立ったように言った。
「そりゃあ労働の対価として貰うなら話は別だけど…」
「そしたらこうしましょう」
「え?」
進藤くんの手が俺の腰に回って引き寄せられ口と口が触れ合った。
「!?!?」
え、またキスされてる…?
「んっ」
ちゅくっと音を立てて唇が離れる。
「俺、尾崎さんのこと考えると勉強に集中できないので触らせてください」
「え?!だ、ダメだよ!それに今俺乳首なんともないし!」
俺は焦っておかしなことを言ってしまった。
乳首とかいう問題じゃないだろ!
「乳首勃ってなくても俺で感じるか試して下さい」
「えっえ?!」
洋服の裾から大きな手が侵入してきて脇腹や背中を撫でさすられる。
「ひっ…」
進藤くんの手は温かかったが、いきなり触られて肌が粟立つ。
乳首が敏感になるとつい想像してしまった進藤くんの手。
そして身体をまさぐられながらまたキスされる。
「んっんん…はぁあっ!!」
乳首を触られた。
今は敏感な時期じゃないはずなのに、痺れるような快感が走った。
「あっあっ!あん♡」
「気持ちよさそうな声…もっと聞かせて…」
「ぁあっだめ、なんで!?」
なんで今なんともないはずの乳首がこんなに気持ちいいの?
進藤くんの指だから??
「尾崎さんエロいね…やっぱりいいよあんた」
「いやっなに言って…」
「真面目そうな顔してるのに、ちょっと触ったらぷるぷる震えてよがっちゃって可愛い…」
嘘、俺のことそんなふうに思ってたの!?
やっぱり進藤くんの趣味っておかしいよ。
「あ、だって進藤くんが…あん…いやらしい触り方するか…ら…」
「経験なさ気なのにめちゃくちゃエロいオナニー見せつけてくるし、キスは下手なのにとろけた顔はえっちだし…触られてどろどろになったら淫乱そのものだもんね?俺、バイト中我慢するの大変だった」
は?は??なに??
「バイトしてみたかったけど父親にダメって言われてて、家庭教師付けるって約束で短期でバイトさせてもらったんだ。そこであんたを見つけた」
乳首をグリッと捻られる。
「はぁっいい、いいよぉそこきもちいぃいもっと擦って!」
「はいはい…こう?気持ちいいね?ほら、こうでしょ?」
「んんっそう!ああ…進藤くんに触ってほしかった…あんっ♡」
「俺が居なくなってから俺のこと想像していじった?」
「いや…聞かないで…」
「したんだね?言わないと触るのやめちゃうよ」
「した!したよ、ああっうう…♡進藤くんが見てるの想像して…何回もしたぁ…♡」
俺は自分でした浅ましい行為を思い出して、それにすら興奮した。
「可愛い…俺あんたのこと好みだって言ったろ?あれ本気だから。あんたも俺のこと好きだろ?そう言ったね?」
「ああ…ちがう…あれはちがうからぁ…はぁ、ああ…♡」
「何が違うの?そんな事言うとここもいじめるよ?」
俺の性器から染み出したいやらしい液体をお尻に塗り込めて、指を中に入れてきた。
「ああ!!だめ!!あぁああっ」
「あれ?もしかして自分でもここいじってた?」
「いやっいやぁっ!してない…んっしてなっ」
「嘘だ、前に触ったときより柔らかくてすぐ指を飲み込んだよ。すごいなやっぱり尾崎さんって淫乱なんだ…」
俺はあまりにも恥ずかしくて顔をそむけた。
「良いんだよ?俺はそういうの好き。もっと可愛い所見せてほしいな」
ぐちゅ、ぐちゅぐちゅぐちゅ!
「ぃひぃいいっ♡」
「もうイキそう?いいよ、久しぶりにイキ顔見せて?」
「はひぃっあん!だめぇっお尻でイクの見ないでぇ!あぅっいいっいいよぉ♡もういく!イクゥっ♡♡」
ぴゅるっと進藤くんの手の中に精液を吐き出してしまった。
進藤くんは満足そうに微笑んで僕の口を塞いだ。舌がヌルヌルと入ってくるのをぼんやりと感じていた。
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