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欲しがりな彼 5

長身の東城が立っていて、こちらを探している。 広瀬は東城の方をむいた。 彼は仕事帰りで、鞄をもち、もう一方の手に画用紙を一回り大きくしたくらいの長方形の包みをもっていた。薄茶色の包装紙に包まれてビニールの荷造り紐がかけられている。 そして、広瀬の横にいる隆平を見ると、またあからさまにいらだった顔をした。今となってはこの反応もわかる気がする。 隆平は立ち上がる。「やあ、弘一郎、また会ったね」と彼は言った。ほがらかな声だった。 「お前がなんでいるんだよ」と東城は隆平に聞いた。 「昨日まで泊まってたんだよ。もう帰るところだったんだけど彰也がいたから声をかけたんだ」そして東城が持っていた包みを指差す。「それ、プレゼント?あんまり豪華そうじゃないね。あ、サプライズだったらごめん」 そんな話をしていると「隆平」と呼ぶ女の声がした。 その場にいた3人ともが声がしたほうを見る。胸と尻の大きなかわいらしい顔の女性が立っていた。 「お待たせ。ごめんね」と言って手をふっている。そして彼女は隆平の近くにいる東城と広瀬に気づいた。彼女は怪訝そうに頭を下げてきた。そして、隆平を見る。「お知り合い?」 隆平はうなずいて紹介する。「親戚の弘一郎」 東城は今までの渋面が嘘のように笑顔になり女性にあいさつする。初対面の女性に不機嫌な顔を見せるというのは彼にはありえないのだ。笑顔と丁寧なものごしが彼の習慣だ。 広瀬は今まで何度も多くの女性がこの笑顔にひかれるのを見てきた。そしてご多分にもれず隆平の彼女も東城に笑顔を返していた。ハートが目からふわふわとでるのが見えるようだった。 もちろんそれは一瞬だ。彼女はすぐに真顔に戻り隆平の方をみた。「早く行こう」と彼女は言った。 隆平は彼女と東城を目で追っていた。暗い目だ、と広瀬は思った。嫉妬心だろうか。こんなささいなことに? 隆平は彼女にうなずいた。そうして、彼は東城と広瀬に手をふった。「じゃあ、ここで。彰也、また、今度」 隆平は彼女の腰に手を回し、何かを耳元に話しかけながらロビーから出て行った。

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