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欲しがりな彼 8*

東城は、広瀬を見下ろしている。「まあ、泣いたり喚いたりなんでも好きにするといい」と彼はむしろ冷静な声で言った。「手はあんまり動かさないほうがいいぞ。こすれてあとがつくから」 「こんなこと」と広瀬は言う。「はずしてください。こんなのは嫌だ」 「そうだな、広瀬」と東城はいった。彼は、広瀬の白いワイシャツに手をかける。「どうしようか」ボタンを一つ、二つはずしていた。三つ目に手がかかったときに、力が入ったのかプツっとボタンがはじけた。 東城は、意外そうな顔をした。破れたワイシャツを面白そうにみた。 彼は両手に力をかけると、ピッとやや高い音がして、シャツが破れた。ボタンでひっかかるが、力まかせにそれも引きちぎっていってしまう。しばらく遊ぶようにワイシャツをちぎり、残ったそでの部分は腕にまくりあげられた。引きちぎって小さな布になったワイシャツを、東城は眺めている。悪いことを考えている顔だ。 彼は、広瀬のベルトに手をかけると、ゆっくりと抜いた。 「また、おもちゃが手に入ったな」と東城は広瀬にベルトを見せた。「なにに使おうかな」 広瀬は、せいいっぱい東城をにらんだ。「この、変態」 「なんとでも言えよ」東城は笑みを浮かべる。広瀬にそう言われてむしろ楽しそうだ。スラックスの上から、股間を抑えられる。何度か手が行き来し刺激があたえられる。 広瀬は顔をそむけた。 「少し、硬くなってきた。こういうの、燃える?」 「嫌です。こんなの」 東城の手で布の上から性器を何度もおされれ、形をなぞられる。広瀬は腰をひいてその手から逃れようとし、せいいっぱい足を動かして、上に乗りかかってくる東城をはらいのけようとする。彼はびくともせず、広瀬のスラックスのジッパーに手をかけると、ゆっくりおろした。 広瀬は、抵抗を強めた。 「おとなしくしてたほうがいいんじゃないか」と東城はいう。彼は、スラックスと下着を引き抜いて、足をむき出しにしてきた。そして、ひざをたてさせて右の足を折ると、太ももと足首の近くを、広瀬のベルトでしばってくる。 「や!」きつくしばられて、右足は動かなくなった。 「お前があばれるからだ」とまるで広瀬が悪いようなことをいわれた。 東城は、広瀬の性器の先端を指先でなぞる。「少し、濡れてきてるな」 彼は、広瀬をみている。「なあ、お前は誰のものだ?」と彼はいってきた。 「え?」 「お前は、おれのものだろ」 広瀬は、首を横に振った。 「こんなふうにちょっと俺がさわるだけで感じてるのにな。俺のものじゃねえの?」 「違います。もう、やめてください」先ほど広瀬が否定したのが、よほど気にくわなかったのだ。 広瀬は東城がどこでスイッチが入ったのかわからなかった。自分は自分のものだ。他の誰かのものでなんかない。東城の命令にいちいち従うことはない。そんなわかりきったことなのに。 東城はふうん、と言う。「乳首もたってるぜ」彼の手が右の乳首をはじいた。そこも感じていて、ちょっとのしげきで声があがりそうだ。 広瀬は、恥ずかしくて目をとじた。 東城の手がじりじりと性器の先端をいじっている。彼は乱暴に縛ってきた後は、いつも通り丁寧にゆっくりと広瀬を感じさせてくる。彼の手はどこで感じるのかを覚えていて、的確に動いてくる。その動きにあわせて、じわっと先走りがもれた。東城はわざとその湿りを指先でとって、棹の部分につけてくる。 東城が先端の丸い部分に舌をはわせた。鈴口をざらっとした舌の先端でついてくる。さらに、亀頭の部分から首までしゃぶってきた。声をださないのがやっとだ。熱い口の中でしごかれてしゃぶられると、いままで何度も繰り返されたその後の行為の記憶がよみがえり、さらに硬くなってそりかえってくる。足の指先にも力がはいる。東城の指がやさしく棹の部分をこすってきた。 波のようになんどか射精感がおそってくる。もう少しで、と思っていたときに、ふと、東城の口と手がはなれた。中途半端にのこされた広瀬の腰がゆれる。 「やめてください!」広瀬は声をあらげた。 東城が、さきほどちぎったワイシャツの切れ端を広瀬の性器の根元にしばりつけたのだ。 「いやだ」広瀬は身体をよじった。 東城は、彼の性器にふたたび口をつけてきた。唾液でびしょびしょにしてくる。先走りもあわせて、それは尻の間をつたう。東城は右手で広瀬のペニスをなぶりながら、自分の左手の指に唾液をつけている。 広瀬はあせった。性器はすっかり立ち上がっているのに、根元でせきとめられ、いくことができない。痛みと強い快感にもだえた。さらに、東城の指が後孔に入ろうとしてくる。 広瀬は「いやだ」と繰り返した。「こんなこと」 東城の指がなんどか後孔の周りをめぐり、ゆっくりと押し入ってくる。強引さはないが、確実だ。彼の指は広瀬の前立腺の場所をよく知っていて、ためらいなくそこにたどりつく。指でくっくっと押された。腰が跳ね上がる。 広瀬は悲鳴をあげた。「とってください」と東城に言った。哀願に近い声だ。「東城さん、やめて」 東城の残酷な声がする。「苦しい?」 広瀬はがくがくとうなずいた。もういきたい、いかせてほしい。「解いてください。いやあ」腰をゆらした。 「いいぜ、これ、ほどいても。ただし、広瀬が誰のものか、ちゃんと言えたらだ」と東城はいった。

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