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欲しがりな彼 9*
「いやだ、こんな」広瀬は首を横に振る。
「言えないなら、このままだな」東城はくねくねと指を広瀬の中で動かし、もう一方の指先でペニスの先端をこじあけてくる。「つらそうだな。かなりパンパンになってる」彼は、裏筋をなぞった。
「んっ!」
「言えよ、広瀬。お前はおれのものだ」
なんどもなんども刺激を繰り返された。
東城の手が優しく棹を行き来し、カリの部分をなぞる。そのたびに広瀬の口からあえぎがもれる。とめられない。
頭の中が白くなり、満足にものを考えられなくなってくる。ただ、布をといてほしい、いかせて欲しいと思う。「いえる?」と東城の声が耳に入ってくる。
広瀬は、うなずいた。
「『彰也は東城さんのもの』ですって言ってみろよ」
広瀬は口をあけた。「東城さん」という。中に入っている指がまた刺激を与えてくる。
「やっ!」
「いえよ」
「彰也は、」と広瀬は声に出した。息が続かず途切れ途切れになる「とうじょうさんの、ものです」と彼は言った。
「もう一回、ちゃんと続けて言ってみな」くっとペニスを握りこまれた。
「んっ!東城さん、いやだ」
「言えよ」
「彰也は、東城さんのものです。ああ!いやあ!放して下さい。お願いです。もう、放して」
そこが限界だった。広瀬は何度も哀願し、東城に「自分は東城のものだ」と繰り返し繰り返し言った。
東城は、ワイシャツの切れ端をといた。
途端に、広瀬は、強く吐精した。嬌声がとまらなくなる。長い時間に感じられた。
出た後も、広瀬の身体は跳ね上がり、制御できなくなる。東城の手がしばらく射精をうながすように棹の部分をなでていたが、最後のほうで口をつけて、吸い上げてきた。身体中の全てを奪われ、広瀬はさらにはしたない声をあげていた。
夜中に目がさめた。部屋は薄暗くなっている。起き上がろうとしたら、ぐっと手をつかまれた。
「どこにいく気だ?」東城が、低い声で言う。
「トイレに行くだけです」と広瀬はこたえた。東城は手をはなした。
広瀬は、ゆっくりとベッドを降りた。歩けるか歩けないかぎりぎりの感じだったが、なんとか気力でこらえて部屋をでた。
用をたして寝室に戻ると、東城が半身をおこしてこちらを見ている気配がした。
広瀬は、ベッドに入り込む。
「あやまらないから」と東城は言った。「悪いことしたとは思わない。だから、今日のことはあやまらない」と言う。まるでわがままなこどもだ。そして、その言葉とは裏腹に強い後悔がにじんでいる。
「そうですか」と広瀬は答え、東城からできるだけ遠ざかり、背を向けて丸くなった。
身体中が痛む。
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