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欲しがりな彼 14

隆平がのしかかってくる。東城ほどではないが、彼も広瀬よりかなり大柄でがっしりている。体重をかけられ、圧迫される。 彼は広瀬の首に顔をつけてきた。 「ねえ、弘一郎はどんなふうに君を抱くの?同じようにしてあげるよ。キスはするの?弘一郎は、どこに触るのが好き?」と隆平は言った。「彰也はいいな。弘一郎に愛されてて。彼は欲しいって思ったらどんなものでも手に入れられる。ずるいよね。君みたいなきれいな人だって思いのままだ」とうわごとのように言っている。そうして、広瀬の身体の自由を奪おうとしてくる。 こうやって東城の前の彼女も襲ったのだろうか、と広瀬は思った。力まかせにしたのか、なんなのかはわからないが、どこまでその女性に合意をとっていたかわかったものではない。 隆平が再度耳元でなにかを言おうとしてくる。 いい加減にしろ、と広瀬は思った。そして、自由な右手をつかって、隆平の左手をとるとねじあげた。 予期しない抵抗にたじろいだ隆平から自分の左手をはがすと、のどに手をやってぐっと押す。 少し身体がはなれたところを見計らって体勢を変え、ひざを相手のみぞおちに入れた。 隆平はせきこんで前かがみになる。広瀬は、彼の左手をはなさずさらにねじった。 「いた!」と声があがる。 「ドアの鍵あけてください」と広瀬は再度言った。「このままだと筋を痛めますよ」自分の体重を容赦なく隆平の手かけていく。 「わかった、あけるよ」と隆平は言った。そして、スイッチを押して広瀬の側の鍵をあけた。 広瀬はドアから外にすべりだした。 隆平は運転席から広瀬をじっとみている。意外と静かな目だった。 広瀬は、振り向かず走り出した。時計をみるとかなり時間がたってしまっている。東城がアパートに来ているかもしれない。

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