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晴れの夜、雨の夜 12

ホテルの部屋でシャワーを浴びて、全裸で広瀬はベッドにうつぶせになっていた。今日はとても疲れたと思った。ただでさえ研修でつかれているのに飲み会の開始から考えると、5時間以上飲んでいて、後半は度数の高い酒だったので、眠い。 東城は、ベッドの端に座り、ざらっと広瀬の短い髪をなでてくる。 「髪、なんでこんなに短くしたんだ」 「高田さんが切れっていうから」 「それにしても、切りすぎだろう」と苦笑している。「みんななんていってるのか知らないけど、早くのばしたほうがいい」 「がんばったってすぐにはのびません。似合わないのはわかってますけど」 「いや、似合わないってわけじゃないんだけど、この、うなじとか、やばい感じだ」つっと指をすべらされた。 「高校生みたくみえるんだよ、お前。こんなホテルの部屋で一緒にいると、悪いことさせてるような気分になる」 そんなことを言って、首の後ろにキスをされた。 もしかして、東城は、少しは立ち直ってるのかも、と広瀬は思う。よかったと思う反面、もう少し反省が続いても、それはそれでいいはず、と思った。 酔って眠い中のキスは、ひどく長く感じられた。 東城が、自分を緩く抱き、しつこくキスを続けていた。 時々唇が離れ、そこここを甘噛みされた。だけど、酒のせいで、感覚は鈍い。ゆらされなければ、すぐにも眠ってしまっただろう。 耳元で、彼の声がする。夢の中のような声だ。名前を何度も呼ばれ、好きだとかなんとか、そんなことばかりだ。前と同じ。彼は相変わらずだ。広瀬を愛撫し、快楽を与えよることに熱心だけど、広瀬が本当は眠くて仕方がないことには気づかないのだ。 そして、前と同じように、広瀬は返事をしなかった。半分眠っていたせいと、何か言おうとすると、東城がキスをしてきて口がふさがれるせいだ。 口の中を吸われて、かき回されて、息が詰まりそうになると、離れていく。それから、耳元で、ささやかれて。ずっと、同じ。繰り返しだ。 もう、眠ってしまおう。 身体を動かして、彼のキスから逃れ、胸に額をつけ、目を閉じた。東城の手が背中をなでた。また、なにかをささやかれた。眠ってしまったので重要なことだったのかそうでないのか、わからなかった。

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