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フラッフィが住む島 (2)

「翠理、またここにいたの、」  背中側から声がして、翠理はぐーっと首を反らした。 そのまま後ろに倒れると、幼馴染の藍星《あいせ》が和風の日傘を持って見下ろしていた。 翠理の倒れたところに、日傘を開いて影を作ってくれる。  右の瞳は名前の漢字と同じ深みのある藍色で、左の瞳は輝く金色のオッドアイだった。  夜空のような漆黒の髪は癖ひとつない直毛で、右側の前髪を少し長めに切りそろえられている。髪の色が暗い分、白皙がよく映えて美しい。  頭部にぴんと立ったうさぎの耳は、髪と同じ夜の色だった。藍星はレプスだ。 「あんまり陽に当たっちゃいけないって言われてるでしょ、」 「平気だよ、」  翠理は寝転んだまま答えた。 どこもかしこも色素の薄い翠理は、見た目通りアルビノで、肌を露出して外に出てはいけないと言われている。  だからちゃんと、フード付きで、手の甲も足首も隠れる大きめの外套を羽織ってきた。  フードは風で脱げてしまったのだけれど。

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