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第12話
1ー12 聖剣イェイガー
「後、お年は28とおききしておりますが?」
「ああ」
俺は、うんざりして答えた。
「次のラナンの月で29才になる」
2人が顔を見合わせる。
なんなんだよ?
俺は、きいた。
「何か、文句でもあるのかよ?」
「いえ」
茶髪の男が応じた。
「とても、お若くお見えになりますので」
「今までに他の男性をお抱きになられたことは?」
赤毛の男が聞いたので、俺は、言ってやった。
「こちらは抱かれるのが仕事なんでね。男を抱いたことなんてねぇよ」
「そうでございますか」
2人がなんだかホッとした様子で頷きあった。
なんか、気に入らないな。
俺が口を開こうとしたとき、きれいな澄んだ鈴の音がきこえた。
「何?」
俺の質問に2人が顔を見合わせて微笑んだ。
「王のおなりでございます」
マジかよ?
だが、王様は、その日、俺のところには現れなかった。
どういうことだよ?
俺は、ききたかった。
俺を抱くためにここに呼んだんじゃないのかよ?
「ここには、王の側室がすでに5人おられますから」
赤毛の男が俺を慰めるように語りかけた。
「王がお見えになってもお側に呼ばれるとは限りません」
俺は、不安になってきた。
このまま、ずっと王様のお呼びがかからなかったら、俺は、どうなるんだ?
俺は、やっぱりここから出ていきたいと思った。
「俺がここに持ってきた荷物は?」
俺が訊ねると、男たちは、答えた。
「もう、処分させていただきました」
マジかよ?
俺は、男たちに抗議した。
「そんな!あれは、俺の全財産だったんだぞ!」
「しかし、ここに外のものを持ち込むことは許されてはおりませんので」
男たちは、答えた。
夜になって、やっと1人になれて、俺は、寝室にある大きなベッドに横たえていた。
俺は、いったいどうなってしまうのか。
ふと、ベッドの脇を見ると、布に包まれた何かが立て掛けられていた。
俺は、それを手に取り開けてみた。
それは、あの偽の聖剣だった。
なぜ、これがここに?
俺は、それを手に取り鞘から抜いてみた。
ずしりと重いそれは、澄んだ輝きを放っていた。
『お主が我の新しい主か?』
突然、低い声が俺の頭の中に響いた。
はい?
俺は、剣を鞘に戻した。
今のは?
俺は、もう一度、剣を抜いてみた。
『案ずるな。我の名は、聖剣イェイガー。お主を守護する者だ』
マジかよ?
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