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第20話
2ー8 クロネ
俺は、クロネの様子に何かうさんくさいものを感じていた。
「その、クロネが俺になんの用事なんだ?」
「は、はい」
クロネは、ひれ伏さんばかりにして頭を下げた。
「わた、私の主人があなた様をちょっとした午後のお茶会にお招きしたいと申しておりまして」
「ああ?」
俺は、即答しようとした。
「せっかくだけど」
「もちろん喜んでお伺いいたします」
俺の言葉を遮ってクレイが答えた。
ええっ?
俺は、クレイのことを見た。クレイは、頷いていた。
「では、お茶の時間にお待ちしております」
クロネは、あきらかにホッとした様子で礼をすると部屋から去っていった。
「なんで、勝手に!」
俺は、クレイに抗議した。
「側室仲間のお茶会なんて、行きたかねぇし!」
「あなたが行かなければ、あの者は、主人から酷い折檻をうけるところだったのです」
ラウスが溜め息をついた。
「皆が皆、あなたのような方ばかりではないのですよ、セイ様」
マジかよ?
それからが大変だった。
ラウスとクレイは、お茶会のために俺を着飾らせ始めた。
王に贈られた艶やかな赤い布で仕立てられたばかりの新しい衣を身に纏い、体には、珍しい赤い魔石の嵌め込まれた耳飾りと腕輪のセットを身につけさせられた。
「この黒い首飾りも悪くはないのですが・・」
「こ、これは、特に気に入ってて」
俺は、慌ててイェイガーを手で握って守ろうとした。俺が王からの贈り物に固執することが珍しかったからか、ラウスは、すぐに諦めてくれた。
「では、こちらの黒の魔石の耳飾りと腕輪を」
「わかった」
着飾った俺は、なかなかの側室ぷりだった。
最後に、クレイが俺の頭から薄い白銀色のベールを被せた。
「これは、遠いエルフの里でエルフたちが呪を込めて編んだものでございます。きっと、あなたを守ってくれることでしょう」
「そうなんだ」
俺は、そっと布を羽織った。
「さあ、これであなた様は、この後宮1の美姫でございますよ、セイ様」
はい?
俺は、笑った。
「それは、言い過ぎじゃね?」
「そんなことはございません」
ラウスも頷いた。
「セイ様は、この後宮の花でございます」
「はいはい」
俺は、二人の言うことを本気にはしなかた。
だって、こんなとうのたった花があるかよ。
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