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第21話

2ー9 カレイラ 時間が来て俺たちは、招待を受けたカレイラ様とやらの部屋へと向かった。 「カレイラ様は、宰相のご子息でこの後宮を取り仕切っておられる方でございます」 道々、ラウスが俺に教えてくれた。 「あの方には、逆らわない方がよろしいかと思います」 「そうなんだ」 俺は、神妙に頷いた。 そして、俺たちは、カレイラの部屋の扉をノックした。 「どうぞ」 中から声がして扉が開いた。 クロネが顔を出す。 「セイ様のみお入りください」 「はい?」 俺が、答える間もなく、クロネは、扉を閉めて俺の侍従たちを閉め出した。 「こちらへ」 クロネは、俺を奥へと案内した。 その部屋は、俺の部屋ほどではなかったが、なかなか豪勢な部屋だった。 「ん?」 俺は、顔をしかめた。 部屋の奥から甘い香りが漂ってくる。 俺が中に入るとそこには、何人もの少年たちが床の上に置かれたクッションに身を任せて横たわっていた。 少年たちは、みな、うっとりとした表情で肌を寛がせていた。 「なんだ?これ」 俺は、引き返して部屋から逃げ出そうと思ったのだが、クロネが立ちふさがった。 「お戻りください、イガー様」 俺が振り向くと、一際目立つ立派なソファに横たえている少年が俺に手招きした。 「さあ、こちらへ。王の寵姫どの」 金髪の美しい髪を長く伸ばした青い瞳の蠱惑的な少年が猫のような微笑みを浮かべていた。 俺は、意に反して体が動いてカレイラのもとへと歩み寄っていく。 「えっ?」 俺は、歩みを止めようとしたが、ダメだった。 カレイラは、抵抗しようとしている俺を見て笑った。 「無駄だよ。この香の力にはどんな屈強な男もかなわない。おとなしく言うことをきく方が身のためだよ、セイ」 俺は、やつの術中にはまっていた。 奴の側へと歩み寄ると、俺は、その前にひざまづいた。 カレイラは、俺の顎に指をかけて自分の方を向かせる。 「へぇ。本当に黒髪黒目なんだな、お前」 カレイラは、俺を上に向かせると命じた。 「口を開けて」 俺は、奴の言う通りに口を開いた。奴は、俺の口中を見て言った。 「この舌が王のものをたぶらかしたのか?」

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