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第22話

2ー10 子猫をテイムしました。 カレイラは、俺の舌を指で摘まんだ。 「男娼あがりが汚らわしい。お前など、ベータどもの玩具でいればよかったものを」 「んぅっ!」 カレイラは、指で摘まんだ俺の舌を銀色に輝く鋭いハサミで断ち切ろうとした。 「んぐっ!」 俺は、抵抗しようとしたが体が動かなかった。 カレイラが冷笑を浮かべた。 「無駄だといっただろう?この香からは逃れられん」 舌に冷たい刃が押し当てられる。 「ふっ!んっ!」 「黙れ!この賤民が!『無印の者』でありながら王のお体を汚しおって!」 舌に鋭い痛みが走った。 口中に血の味が広がっていく。 「んぅっ!ぐぅっ!」 俺は、痛みに涙が流れていた。 口の端から唾液と血の入り交じったものが滴り流れていく。 そのとき。 不意に体の自由が戻った。 俺は、カレイラの手を振り払った。 すぐに、ヒールをかけて舌の傷を癒す。 「なんだ。生意気に魔法が使えるのか?」 カレイラがにぃっと邪悪な笑顔を見せた。 「だが、ここからは無事には帰さんぞ」 カレイラの背後から巨大な黒い影が現れた。 「私のかわいいペットの餌にしてくれるわ」 それは、巨大な黒猫だった。 黒猫は、牙を剥いて俺に飛びかかってきた。 巨大な猫は、俺の両肩を前足で押さえつけて俺の耳の辺りの臭いを嗅いでいた。 猫の口から滴る唾液が俺の顔に滴り落ちる。 「だ、誰か!」 「叫んでも誰も来ないぞ。ここは、私の結界の中だからな」 カレイラが笑った。 「喜べ、寵姫殿。お前に興奮するのは、王のみではないようだぞ」 猫が俺のうなじに噛みつこうとしているのを見て、カレイラが愉快そうに嘲笑した。 「ただ殺すのも面白くない。そうだな。この猫は、雄なんだが番がいなくってね」 「な、何?」 俺の問いにカレイラが答えた。 「この猫相手に男娼の技を見せてみよ。そうすれば許してやってもいいぞ、セイ」 猫がざらざらした舌で俺の頬を舐める。 押さえつけられた両肩が痛くて、涙が目尻に滲んだ。 「た、すけ、て」 俺は、震える声で呼んだ。 「助けて」 「ならん。お前は、王を惑わした罪人だからな」 助けて! 俺は、心の中で叫んだ。 イェイガー! 胸元の黒い首飾りがぽぅっと光を発した。 猫が。 どんどん小さくなっていく。 「にゃあ」 かわらしい子猫が俺の足元にじゃれつきながら鳴いた。 「なんだと?」 カレイラが信じられないというように立ち尽くしていた。 「デザスタが、小さくなった?」 「そうか。お前、デザスタっていうのか」 俺は、俺にじゃれついている黒い子猫を抱いて、その場に起き上がった。 「もう、これで、用はすんだのか?カレイラ」 俺は、カレイラにきいた。 カレイラは、青ざめて無言で俺の腕に抱かれて喉を鳴らしている子猫を睨んでいた。 俺は子猫を抱いたまま1人、部屋から出ていった。

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