24 / 86

第24話

2ー12 薬師を目指そう! イェイリからの貢ぎ物を受け取った後、俺は、人払いをして1人、寝室にこもっていた。 イェイガーと話があったのだ。 『よいか、主よ』 イェイガーは、俺に語り出した。 『ここは、娼妓の戦場よ。主は、ここの将の1人なのだよ。そして、我は、その軍師よ。ともに戦い、この戦場を勝ち抜くのじゃ。主の目的のためにな』 「俺の目的・・」 『そうじゃ』 イェイガーは、俺を諭すように続けた。 『主は、手に職をつけて、いづれここを出ていくのであろう?ならば、そのためにも戦い抜こうではないか』 こういう戦いもあるのか? 俺は、イェイガーを握りしめて頷いた。 「ああ。よろしく頼むよ、イェイガー」 『了解した。ところで、主よ』 イェイガーは、話を変えてきた。 『主は、確かに「無印の者」なのか?』 「ああ」 俺は、答えた。 「そうだよ」 『それにしては、ステイタスが高いな。スキルも持っているようだし』 イェイガーは、俺にきいてきた。 『主は、魔族の者なのか?』 「はい?」 俺は、驚いていた。 「俺は、ただの人間だって。魔族なんかじゃねぇし」 『そうか・・』 イェイガーは、何か考え込んでいるようだった。 『確かに、魔族には、光の魔法は使えぬしな。我の勘違いか』 「なんで、また、そんなことを」 俺がイェイガーに訊ねると、イェイガーは、答えた。 『主の魔力量の多さは、尋常ではない。それこそ、魔王クラスの魔力量といえる』 はい? 俺は、イェイガーの言葉に驚きを隠せなかった。 俺が? 魔力量が多いって? 「そういえば、エドが」 俺は、呟いた。 「昔、俺を育ててくれた人が言ってたんだ。俺は、もしかしたら魔導師になれる素質があるかもって」 『ならば、話が早い。主が目指すのは、魔導師でよいのではないか?』 イェイガーの言葉に俺は、ぶんぶんと頭を振った。 「俺、そういうの苦手なんだよ。戦いとか、無理!」 『そうか。ならば、薬師はどうじゃ?』 イェイガーが俺に提案した。 『薬師ならば、癒しの力を持つ主にはうってつけの職ではないか?』 「薬師か」 俺は、頷いた。 「それで、お願いします」 こうして、俺たちの目標は、決まったのだった。

ともだちにシェアしよう!