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第30話

3ー6 王の寝所 俺がもじもじしているのを見て、2人は、俺の手をとると歩き出した。 「さあ、急いでください、セイ様」 「王がお待ちでございますよ」 俺は、初夜の床へと向かう者のように恥じらいながらうつ向いて歩いていた。 後宮にある王の寝所の扉の前につくと、クレイがそっと扉をノックした。 「入れ」 扉が開かれる。 俺は、2人に背を押されて寝所の中へと入っていった。 大きなベッドの前に立ち止まり、声もかけられずに立ち尽くしている俺に王は、微笑んだ。 「まるで、初めて抱かれるようだな、セイ。緊張しているのか?」 「んなわけが」 憎まれ口を叩こうとして、俺は、言葉を飲んだ。 ベッドの上に横たわりくつろいでいる王のしどけない美しさに、俺は、思わず見とれていた。 この人は、なんて美しいのか。 若く、才能に溢れ、美しい男。 俺は、王に手招きされるままに、ベッドの上へとあがると、よつばいになって這って王のもとへと近づいていった。 まるで、俺を襲おうとしたデザスタのように、俺は、王の上に覆い被さる。 王は、俺の体を抱き寄せると俺の頭上で囁いた。 「お前は、まるで猫のようだな、セイ」 王は、俺の髪を指に絡めた。 「私の懐で眠ったかとおもえば、牙を剥いてみせる」 王は、俺に口づけした。 俺は、王の口づけに応じながら、きいた。 「こんなキス、どこで覚えたんだ?俺は、こんなの教えてない」 「ああ」 王は、俺の頬に口づけながら笑った。 「少し、師に教わった。お前を喜ばせたくってな」 「俺を?」 「ああ」 王は、俺の耳を舌でなぶりながら囁く。 「だが、壊してしまいそうで、私は、恐ろしいのだよ」 「何を?」 俺は、王を見上げてきく。 「何を壊してしまいそうなんだ?」 「お前を、だ、セイ」 王は、俺のほほを指先で辿って、唇に触れた。俺は、自分に触れている王の手の上に自分の手を重ねて目を閉じた。 「壊して」 「セイ?」 「俺を壊して」 「その言葉、後悔するなよ、セイ」 王が俺を組敷いた。 首筋に噛みつくようなキスを何度もされ、俺は、体が奥から熱くなっていった。俺は、夢中で王の背に腕をまわして彼を抱き締めた。

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