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第35話
3ー11 ポーション?
俺は、唇に指を当ててぼんやりとしていた。
『主よ!鍋が・・』
イェイガーの声が聞こえて俺がはっと気づくと、鍋の中は、淡いピンク色の透明な液体に変化していた。
あれ?
俺は、小首を傾げた。
確か、本によるとポーションは、もっと青っぽい色になる筈なのに?
「イェイガー、これ、なんだと思う?」
『・・ポーション、ではないのか?』
「でも、色が・・」
俺は、出来上がった液体を小瓶に詰めながら呟いた。
「気のせいかな?」
俺は、部屋へと戻ると小瓶をラウスとクレイに1本づつ渡した。
「これ、いつも頑張ってる2人に。俺が作ったポーションだ」
「ポーション、でございますか?」
ラウスとクレイは、おっかなびっくり小瓶を捧げ持つと俺にきいた。
「誰か、もう、試しに飲んでみた方はおられるのでございますよね?」
「いや、あんたたちが最初だけど」
2人は、お互いのことをチラチラと窺いあっていた。
「どうしたんだ?なんで飲まないの?」
「いえ」
ラウスが口を開いた。
「このような尊いものを私どもにいただきますのは、もったいのうございますので、まずは、セイ様からお飲みになられていただきたく・・」
うん?
俺は、信じられないものを見るような目で2人を見た。
何?
この展開は。
「俺が作ったポーションを毒だとでも思ってるのかよ?」
俺は、ラウスの小瓶を奪い取ると蓋を開けた。
「もう、いいよ!俺がまず飲んでみるから」
「セイ様!」
俺は、2人が見守る中、小瓶の中身を飲み干した。
あれ?
俺は、舌で唇を舐めた。
なんか、甘くって・・
「うまい!」
俺は、クレイの分の小瓶も奪い取った。
「すごい。これ、うまいよ!2人とも」
俺は、2本目のポーションをぐぃっとあおった。
「なんか、体の奥から力が湧いてくるような気がする」
「知りませんよ!セイ様」
クレイが俺のことを呆れたように見ていた。
「いくら体によくっても、2本も飲んだら飲みすぎですって!」
うん?
俺は、全身がポカポカ暖かくなってくるのを感じていた。
なんか。
俺は、その場にくったりとへたり込んだ。
あれ?
力が、入らない?
目が。
回る・・
「大丈夫ですか?セイ様」
ラウスとクレイが心配そうに俺を覗き込んで、俺の体に触れたきた。
「ぁんっ!」
思わずおかしな声が出てしまって、俺は、口を押さえた。
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