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第61話
5ー11 最後の夜に
というわけでトリアニティ王国へと帰国する俺に、急遽、ラウスとクレイという供ができた。
こうなると2人は、俄然張り切り出した。
「セイ様が魔人の国で恥をかかれることのないように立派な荷を用意しなくては!」
2人は、あれやらこれやら、後宮のご用商人を呼び寄せて取り寄せたいた。
「そんな大袈裟な荷物はいらないよ、2人とも」
俺は言ったが、2人は聞く耳を持たなかった。
王にも2人を諌めるように頼んだのだが、王は、俺の髪を優しく指ですきながら俺に口づけするだけだった。
こうして俺は、トリアニティ王国へと嫁ぐのかというほどの豪勢な荷を用意されて旅立つこととなった。
旅立ちの前夜。
俺は、王の最後のお召しを受けていた。
側室として俺が王に抱かれるのは、今夜が最後だった。
俺は、王に頼んで俺たちの寝ている寝所の隣室へカレイラを控えさせる許可を得た。
俺は、閨に行く前にカレイラに声をかけた。
「いいか?これが俺がお前に教えてやれる最後のことだ」
「はい」
頷くカレイラの頭を俺は、ポンと撫でてやった。
「よく、見ておけよ、カレイラ」
俺は、カレイラを隣室へ残して王の待つ閨へと向かった。
俺は、肌をくつろげて閨で横たわり俺が来るのを待っている王の艶かしい姿に息を飲んでいた。
やはり、この方は、美しい。
俺は、この方にお仕えできたことに喜びを感じていた。
王のベッドの足元に膝をつき、俺は、頭を下げた。
「王よ、これまで短い間でしたが、俺のようなベータの男娼をお側において可愛がってくださり感謝しております」
「なんだ?」
王は、おかしそうに笑った。
「お前らしくもないな、セイ」
王は、自分のベッドの隣をポンと叩いて俺を呼んだ。
俺は、紅色の美しく、身に付けているのかもわからないぐらい薄い衣を脱ぎ捨て全裸になって王のベッドへと入っていった。
「王よ、どうか、俺にあなたの記憶を刻みつけてくださいませ」
俺は、王の首へと手を回して、初めて俺から王に口づけした。
啄むような口づけからだんだんと貪るように激しく変化していく俺の口づけに王は、応えてくれた。
王は、熱い吐息を吐いた。
「どうしたというんだ?セイ。お前から俺に口づけしてくるとは」
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