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第8話
その後、僕は母から父の手術は成功したものの術後の経過が思わしくなく、入院し続けているという話を聞いた。
そんな時、明日南の協力の下でオンラインライブを開催する事が決まり、彼が選んだ曲の中に、あの曲が……『われは海の子』があった。
………………………………………………
「選曲理由。向こうで差別を感じた時、僕を勇気づけてくれた曲だから……だって」
春楓が明日南からのメールを読み上げる。
彼は選曲した曲ひとつひとつに、選曲理由を書いていた。
「…………」
そういえばあの時、明日南もこの曲を選んで歌っていたような気がする。
明日南、7番まで知ってるのかな。
「春希、俺が弾こうか?俺、この曲大好きだし」
「僕でもいいよ。僕もこの曲、大好きだから」
ふたりには父の話をしていて、僕はその事で気を遣わせてしまっていると思っていた。
「…………」
弾きたい。
不思議と、この曲を弾くのは僕なんだと強く思った。
それで僕はふたりに言った。
「……絶対弾きたい。僕に弾かせて」
僕の言葉にふたりは一瞬顔を見合わせたけど、すぐに笑顔になって僕を見ると、
「んじゃ、春希よろしく!!」
「春希の弾き方なら曲のイメージがすごく伝わりやすいと思う。聴くのが楽しみだよ」
と背中を押してくれた。
「ありがとう、ふたりとも」
とは言ったものの、僕は自分自身の気持ちの変化に驚いていた。
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