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第11話

俺のミートボールのせいで、奏斗は田口と対面してしまった。 恭一、大貴、慶太からそれぞれ、奏斗を好きだ、とか、可愛いだとか言った生徒は教えるよう、それぞれの後輩から情報を仕入れて貰っている。 全てパソコンでデータ分けし、登録済みだ。 名前しか知らなかったが、田口もその中にいた。 なにやら、短い時間ではあったが、2人は会話していた。 戻ってきた奏斗に、さりげなく、 『誰?』 と聞いたら、 『知らない人』 はぐらかすように目を合わせないまま、答えた。 ....どういうことだ。 俺は探偵シャーロック・ホーム〇の気分だ。 なぜ、嘘をついた....? ハッとした。 クラスメイトに興味がなく、知らなかった...? もしくは.... いやいや、と首を振る。 好きだから、なんて、そんな馬鹿な、有り得ない。 もしや。 俺は目を見開いた。 付き合ってるから....? いやいやいやいや、そんな馬鹿な、有り得ない。 だったら奏斗のことだ。ちゃんとお兄ちゃんに話すに違いない。 まさか.... 俺がドジ過ぎて嫌になり、反抗し、アイツと.... 俺は両手で顔を覆った。 ああ....俺が、俺がしっかりしていないせいで...奏斗、奏斗。 不意にピコン、と音がした、LINEだ。 見ると、田口を教えてくれた、慶太。 『どう?イケメンだったでしょ』 『何処が。ただの不良じゃないか。お前もタイプなわけ?』 『まさか』 だよな、こいつのタイプはお相撲さん。 父親がかなりの相撲好きで、幼い頃、一度だけ、直に見たときに、胸を鷲掴みにされたような気持ちになったのだとか。 いわゆる、デブ専。慶太に言わせると、デブじゃない!肉体美!とキレられるが。 まあまあ、華やかな美貌の持ち主だが、告っても、きちんと謝罪された挙句、延々、相撲の話しを聞かされたαの生徒がいるらしい。 なかなかの美貌ながら、すぐに相撲の話しに切り替え、止まらない慶太が厄介らしく、俺は力士にはなれない、とαの生徒たちから敬遠されている。

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