12 / 44

第12話

『しかし、あいつは俺に嘘をついた』 泣きそうになりながら慶太にLINEで話しを聞いて貰う俺。 告白しよう、とひたむきにアレコレ考え、奏斗を見つめていた田口くん。 兄の優斗からは奏斗の背後霊呼ばわり、弟の奏斗からは1秒で告白を終わらせられた、実は少々、不憫な田口くんだが、俺は知る由もない。 『嘘?どんな?』 慶太はベッドに寝転がり、相撲の力士の写真集を眺めながらLINE中だ。 『田口を知らない人、て言ったんだ、俺に』 『知らなかったんじゃない?』 力士の写真集で少々、興奮してきた慶太は次第に投げやりになっていく。 『クラスメイトなのにか?』 『クラスメイトなのに。ほら、奏斗、クラスに友達いないじゃん』 『ハブられてるみたいに言うなよ!』 『そういう訳じゃないけど、既にファンクラブあるくらいだもん。いない方が優斗は安心なんじゃない?』 (っていうか、しこりたいんだけど!) 力士の写真に興奮している慶太も釣られてキレる。 『付き合ってるとか...ないよな?』 『知らないけど、ないんじゃない?』 『知らないけどってなんだよ。わかった、予約してる来年の力士のカレンダー、キャンセルするわ』 慶太は慌てて、ベッドから起き上がった。 『付き合ってる訳がないじゃん!あんな奴!有り得ないよ、絶対!』 『マジで?』 『神に誓う、力士さんにも誓うよ』 『そっか』 『カレンダー楽しみにしてるね♡』 ホッとした。 そりゃそうだよな、考えてみたら、付き合ってたら、誰かしらの後輩から情報が入るに違いないんだから。 そうと分かれば....! 俺は椅子から降りるとカーペットの床に移動し、腕立て伏せを始めた。 あいつ、奏斗がなにかあったときは俺が、兄の俺が守ってやらないと....! そんなときだった。

ともだちにシェアしよう!