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第18話

昼休み。 この日も兄、兄の友人、恭一さん、大貴さん、慶太さんとで快晴の下、屋上で食べた。 「どうした?奏斗。食欲ないのか?」 箸が進んでいない僕のお弁当箱を見て、お兄ちゃんが声を掛けた。 「うん....」 と、突然。 「優斗、お前こそ、どうした?今日、全然、ドジがないじゃん」 恭一さんはきっと、慶太さんから伝えられたのだろう。 僕が兄がいつもと違うこと、昨夜の筋トレで頭を打ったのではないか、と。 慶太さんはしばらく様子を見ようよ、と言ってくれたが....。 ふふん、とお兄ちゃんは鼻を鳴らした。 「生まれ変わったんだよ、俺」 腕を組み、尊大な笑顔を浮かべるお兄ちゃん。 僕と同様にみんな唖然とし、お兄ちゃんを見つめた。 ピコン、とLINEが鳴った。 はて?と見てみると、右隣に座り、焼きそばパンを頬張っている大貴さんからだった。 『お前の兄ちゃん、変な宗教にでも入ったんじゃね?』 僕はしばらく愕然とし、LINEを見つめていた。 せっかく作ってくれたお母さんのお弁当。 食欲はなかったが、頑張って完食した。 それからも授業中、一切、LINEは鳴ることはなかった。 兄と校門前で待ち合わせし、僕たちは再度、電車に揺られ、帰宅する。 僕は兄を心配しすぎ、駅に着くまでに疲労困憊していた。 「....お兄ちゃん、隣、いい?」 電車を待つまで、僕は少し兄の肩を借り、仮眠することにした。 コトン、と兄の肩に頭を置くと、あっという間に眠りに落ちた。

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