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第23話
僕、奏斗は帰宅すると、母に異常はなかったことを告げ、自室の勉強机に座り、頬杖をついた。
尖らせた上唇の上にシャーペンを乗せ、思考を巡らせている。
「....ファーストキス」
クイクイ、シャーペンを口元で動かした。
僕は探偵、金田一耕〇の気分だ。
お兄ちゃんのファーストキス....
完璧になったこととファーストキスには因果関係はあるのか....?
だとすると....。
うーん、と、再び、頬杖をついたまま、険しい顔で、クイクイ激しく、口元のシャーペンを動かした。
その人がいるから、しっかりしてきた、ということ....?
ひたすら僕は唸る。
....相手がわからない。
ここはやっぱり、協力して貰うとしよう!
僕はまず、慶太さんにLINEした。
僕とお兄ちゃんは病院の為に学校を休んだので、恭一さん、大貴さん、慶太さんは学校な筈だ。
『こんにちは。今、授業中ですか?』
しばらくすると、返信が来た。
『ううん、今、休み時間。恭一たちもいるよー』
なるほど、と、続きを打とうとしていたら、再び、慶太さんからLINEが来た。
『もうすぐ相撲、始まるよー!僕は録画してあるから帰宅してからしか見れないけど、楽しみ♡』
そ、そうなんだ、と、要点に戻し、返信しようとしたら、
『〇〇錦もいいけど、〇〇丸もいいよねー♡』
躊躇いながらも、
『そうですね』
と返信してしまった。
『やっぱり、奏斗はわかってるー!ところでさー!』
慶太はすかさず、通販サイトに画面を切り替えた。
最近、気になる力士のポスターをリンクし、探偵料として、おねだりしよう、と試みた、が、
奏斗は、話しが進まない....と、恭一にLINEを打った。
「あ、奏斗からだ」
「え?」
恭一がLINEに気づき、奏斗とやり取りしていた慶太から間の抜けた声が漏れた。
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