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第24話
『今回の依頼ですが、兄のファーストキスの相手について調べてもらいたいんです』
眉をしかめ、僕は慎重に恭一さんに依頼のLINEを打った。
その頃の恭一、大貴、慶太の三人。
「....ファーストキス?」
恭一も、恭一のスマホを覗き込んでいる大貴、慶太からも、素っ頓狂な声が出た。
「そんなわけー」
慶太が笑い、
「だよなぁ」
と大貴も同時に笑ったが、
「待てよ....」
恭一だけが真剣な顔でスマホを睨みつけている。
奏斗はなるべく詳細にLINEで報告だ。
『兄が突然、お前のファーストキスはいつ?って聞いてきたんです。僕は、即座にまだだよ、と返しました。ですが、兄は違ったんです....』
ゴクリ、と大貴と慶太は唾を飲み込み、続きを待った。
『僕は、お兄ちゃんは?と尋ねましたが、兄はファーストキスについて、一切、話しませんでした。俺は...とだけで。まるで、ファーストキスの話しを逸らすかのように....』
奏斗は続けた。
『それに、前触れもなく、いきなりファーストキスの話しを切り出して来た意味もわかりません』
「こ、これって....」
大貴の顔が青ざめ、
「....有りうるな....」
恭一が渋い顔で、奏斗のLINEを見つめた。
「僕もまだだって言うのにー!」
慶太が頭を抱え叫び、
「それは俺だって!あいつ、いつの間に...!」
大貴も顔を覆い、項垂れ、
「抜け駆けしやがったな....」
恭一に至っては険しい顔で舌打ちを打った。
「グループLINE、作るぞ!みんな入れ!」
恭一の一言に、大貴、慶太は一目散とスマホを取り出し、奏斗もグループLINEに誘導した。
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