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第26話
父も会社、母もパートで居らず、俺と奏斗はダイニングで向かい合い、母の作り置きしてくれていた、チャーハンと味噌汁を食べた。
奏斗は、
「今すぐ、食べる!」
余程、腹を空かせていたのか部屋に入るなり、赤くなったり、青ざめたりしていたが...。
「僕がやるから、お兄ちゃんは座ってて!」
と、奏斗はチャーハンも味噌汁も温め直してくれた。
....しかし。
しっかりしよう!と毎朝、早めにアラームを掛け、姿見に全身を映し、
寝癖、良し!ネクタイ、良し!スラックスのファスナー、良し!
と、鏡に映る自分をくまなくチェックし、食事の際、授業中も俺は一切、ドジをしないよう注意に注意を払い....
明日で三日目になるが、....正直、しんどい。
何故か、奏斗は俺を見つめたまま、チャーハンをスプーンで掬い、黙々と食べている。
「....どうした?奏斗」
俺が実は毎日の気疲れで、実はかなり、疲労困憊していることに気づかれてしまったのだろうか...。
「え?あ、ううん」
どうやら、兄は自分のファーストキスの相手を僕だけでなく、兄の友人、恭一さん、大貴さん、慶太さんも協力し、探り始めていることは察してはないようだ。
安堵すると共に、味噌汁を飲む、兄の箸が逆ではないことにも気づく。
しっかりして来たのはいいことな筈なのに、どうも、しっくり来ない奏斗がいた。
再度、俯きがちにチャーハンを掬う兄を見つめ、自身も何故か歯がゆくなりながら、チャーハンを頬張った。
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