37 / 44
第37話
恭一たちの言葉は伊達に嘘でも間違いでもなかった。
あの日、優斗が噴水に飛び込んだ、と知り、秘かに奏斗に連れられた優斗の後を追っていた、優斗のファンだ。
水で張り付いた白いワイシャツから透けた乳首や、それだけでなく、水を含み、輪郭を露わにしたボクサー越しの形のいい尻を盗み見て、興奮していた。
奏斗が一旦、教室を離れた際、ワイシャツを脱ぎ、タオルで拭う半裸の姿。
着替えの為に一旦、全裸になった姿も見逃さず、鼻息を荒くした。
細く白い肌、薄いピンク色の乳首...。形のいい尻に興奮し、二人に見つからないよう凝視し、下半身を擦った。
「ちょ、ちょっと、何なんですか?急いでるんです...!」
あろうことかそのまま、体勢を崩し、倒れ込んだ。
「鈴原...」
相手の形相に恐怖を感じ、腕から逃れようと体を捻り、四つん這いで這うと、その背後にのしかかられた。
「や、やめ...」
一方、お兄ちゃん、遅いな、と奏斗は優斗の教室に優斗を迎えに行っていた。
教室に入るや否や、見知らぬ生徒にのしかかられ、スラックスを脱がされ、ボクサーの尻が見えた姿で必死に逃げようとする優斗の姿があった。
それを見た瞬間。
「僕のお兄ちゃんに何するんだ!」
そこから奏斗は勢いよく、飛び上がり、優斗を襲う生徒の背中を飛び蹴りした。
「うっ...!」
見事に奏斗の容赦ないキックは決まり、
「大丈夫?お兄ちゃん」
スラックスを直し、
「二度と僕のお兄ちゃんに近寄るな!」
縋るような相手に再度、痛烈な飛び蹴りを喰らわせ、相手はノックダウンした。
ともだちにシェアしよう!