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第81話 俺の実家に篠田を連れて行く(1)
篠田を連れて俺の実家に帰ろうと計画していた矢先、妹から久しぶりの連絡があった。
どうせまた東京に買い物に来たいから付き合えとかそういう話だろうと思った。
以前は俺の家に泊まってもらえたが、今は篠田と同居してるのでホテルに泊まってもらわないとなぁ…買い物は付き合うけど。
なんて思いながらLINEを開いてみて俺は声をあげた。
「ウッソ!?」
隣で食後にアイスを食べながら海外ドラマを見ていた篠田が聞いてくる。
「どしたの先輩?」
「美月のやつ、結婚するって…!」
「えー!おめでたいじゃないですか!あの彼氏とうまくいってたんだ。良かったなぁ」
以前篠田は美月の彼氏へのプルゼンとのことで相談を受けていたから知っているのだ。
その時の俺の醜態は思い出したく無いが。
「しかも来年ハワイで挙式だって!」
俺と篠田は顔を見合わせた。
多分同じことを考えてる。
「それ、俺も行っちゃダメ?」
「いいよ勿論!一緒に旅行しよう!」
うわー、あいつが結婚かぁ。
しかもハワイ、篠田も連れてっちゃえ~。
と思って美月に結婚式参加OKの連絡をしたら「篠田くんも一緒にどう?」って向こうから聞かれた。
美月は俺と篠田が仲良くて一緒に住んでるのを知ってるんだよな。
多分ただの友達じゃ無いのも薄々気付かれてると思う。
「実はそのつもりだった…と。送信~」
旅行がてら一緒に行こうと思ったけど、結局式から篠田も同行することになったわけだ。
となると、わざわざただの友人がその妹のハワイ挙式に参列するか?
ということになる。
やっぱり…実家に帰って俺たちのことちゃんと話しておいた方が良さそうだよな。
「なぁ、篠田。やっぱ俺の実家でお前と付き合ってること話すわ」
「そうなの?無理しないでただの友達ってことにしても良いんですよ」
「最初はそれでも良いかなって思ってたんだけど…ハワイ一緒に行くならやっぱり説明しておいた方がいいかなって」
「まぁ、確かにそれもそうですね」
ちょうど近々3連休もあるし、泊まりがけで行く予定を立てた。
両親にも予定を聞いたら大丈夫とのことだった。
はぁ…普通に女の子と結婚するって親に紹介するんでも緊張するだろうに、相手男だからなぁ。
俺は隣でアイスを食べるイケメンを眺める。ボーッとテレビ画面見てるだけなのにアイスのCMみたいに爽やかだ。
母さんは…多分大丈夫そう。びっくりはしてもイケメンに弱いから最終的にはなんとかなるはず。
問題は父さんだよなぁ…同性の恋愛とか全く理解無さそう。テレビとか見ててオネエキャラに気持ち悪いとか言ってるもんな。
別に俺はオカマじゃねーけど、女になりたいって思ってると勘違いされるかな?
父さん頭堅いしなぁ。
ま、悩んでも仕方ない。行くだけいくしかねー。
黙って悩んでたら篠田がこっちを見ていた。
「ん?」
何だ?と聞く前に顔が近づいてきてキスされた。
さっきまで食べてたアイスの味がする。
「先輩んち行くのもハワイも楽しみだね!」
篠田の笑顔を見たら何とかなる気がしてきた。
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